FRBと投資家はともに米景気が軟着陸を達成するシナリオを前提に動く

パウエル氏は、ここ数年の最重要課題だったインフレ抑制について「(物価目標の)2%に戻る道筋をたどっているという確信を深めている」と述べた。他方で失業率の上昇などを念頭に「労働市場のさらなる減速を歓迎しない」と強調。政策の軸足を景気・雇用への配慮に移した

インフレ抑制と景気・雇用への配慮のトレードオフがある。

米金利先物市場ではパウエル氏の講演後、FRBが年内残り3回の会合で計1%以上の利下げに動くとの予想が8割近くに達した。前日は65%程度だった。年内に少なくとも1回は通常の利下げ幅の倍となる0.5%の利下げを実施することを織り込む。

先物市場での折り込み具合の観測。

23日の米市場では幅広い年限の米国債利回りが低下(価格は上昇)し、ドル売りが進んだ。対ドルの円相場はパウエル氏の講演前の1ドル=146円台前半から一時、144円05銭まで2円を超す円高・ドル安が進んだ

現物の市場が反応。

23日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比462ドル(1.1%)高の4万1175ドルで終えた

利下げに対して株式市場は上昇の反応。

月初発表の7月の雇用統計後に米景気の急減速不安が高まり、投資家のリスク回避姿勢が強まったが、その後の小売売上高などの指標で過度な不安が後退

直前は、弱い雇用統計と若干のプラス材料。

過去の事例をひもとくと、FRBの利下げ開始で株高が続くとは限らない

景気後退が先行すると、利下げだけでは株式相場を上げることは難しい、と言っている。

民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が掲げる経済政策はいずれも財政拡張的

財政拡張 → インフレへの懸念、という不安材料がある。